ラット/マウス SP-Dキット「ヤマサ」EIA

はじめに

サーファクタントプロテインD (SP-D) は肺胞Ⅱ型上皮細胞で産生されるC型レクチンのコレクチンサブグループに属する分子量43kDaのコラーゲン様構造を持つ糖蛋白質です。ヒト血清SP-D が間質性肺炎患者で高値を示し、間質性肺炎の診断用マーカーとして有用であることが明らかになっています。ヤマサ醤油ではヒトSP-D測定キットである SP-Dキット「ヤマサ」EIAⅡを開発、製造販売しており、臨床検査の場で広く利用されています(販売は協和メデックス株式会社に委託しています)。
ヤマサ醤油では更に、ラットSP-D測定系についても研究を行い、モノクローナル抗ラットSP-D抗体によるラットSP-D測定ELISAを開発いたしました1)。本ELISAによりラット血清中SP-Dを高感度で測定が可能となりました。また、ELISAに用いている抗体はマウスSP-Dにも反応するためマウス SP-Dの測定も可能でした。本ELISAを用いてブレオマイシン誘導肺線維症ラットおよびマウスの血清SP-D濃度変動について検討した結果、肺傷害を おこした場合血清SP-D値が高値となることが明らかとなりました2)(概要は こちら でご覧頂けます)。本ELISAをキット化して製品としたのが、ラット/マウスSP-Dキット「ヤマサ」EIAです。
SP-Dの生体内での機能を解明するためには、動物実験が不可欠です。高感度にラット/マウスSP-Dを測定できる本製品は、SP-D研究に有用です。また、ブレオマイシン誘導肺線維症ラット/マウスで検討結果から、SP-Dが肺の障害をモニタリングできる血清マーカーとして利用できる可能性が示唆されており、本製品が各種動物実験での肺傷害検出に有用となる可能性があります。

キットの特徴

●96穴マイクロプレートによるELISA法です。
●ラットSP-Dを0.47~30ng/mLの範囲で測定可能です。
●測定に必要な反応時間は一次反応2時間、二次反応1時間、発色反応20分です。
●ラットSP-DおよびマウスSP-Dが測定可能です。※1
●ラット、マウスの血清および気管支肺胞洗浄液中のSP-D測定が可能です。※2
※1:マウスSP-D濃度についてはラットSP-D当量での表示となります。詳しくは「測定上の注意」の(1)をご参照下さい。
※2:試料によって希釈率が異なります。詳しくは「測定上の注意」の(2)をご参照下さい。

測定原理

2種類のマウス由来モノクローナル抗ラットSP-D抗体を用いたサンドイッチELSIAです。

製品内容

●製品コード:80072
●本製品1キットに含まれる構成品:

構成品名 容量 数量
抗体固相プレート 96穴マイクロプレート 1枚
SP-D標準液1 (SP-D濃度 0.47ng/mL) 0.5mL 1バイアル
SP-D標準液2 (SP-D濃度 1.88ng/mL) 0.5mL 1バイアル
SP-D標準液3 (SP-D濃度 7.5ng/mL) 0.5mL 1バイアル
SP-D標準液4 (SP-D濃度 30ng/mL) 0.5mL 1バイアル
希釈液 50mL 1バイアル
洗浄原液 50mL 1バイアル
酵素標識抗体 0.15mL 1バイアル
酵素標識抗体希釈液 15mL 1バイアル
発色液A 0.5mL 1バイアル
発色液B 11mL 1バイアル
反応停止液 11mL 1バイアル

●貯蔵方法:2~8℃
●有効期間:製造日から24ヶ月
●希望小売価格:120,000円

測定方法

<測定方法概要>

 

ラット/マウス SP-Dキット「ヤマサ」EIA

標準曲線例
ラット/マウス SP-Dキット「ヤマサ」EIA

測定上の注意

(1)本製品に添付されている標準液はラットSP-Dです。そのため、マウス検体を測定した場合、結果はラットSP-D当量として算出されます。
(2)試料は添付の希釈液にて希釈してから測定して下さい。ラット血清は50倍、マウス血清は10倍希釈、気管支肺胞洗浄液は100倍希釈が目安です。測定範囲以上の濃度を示す試料ついては、適宜希釈して下さい。
(3)その他ご不明な点は、Q&Aページ をご覧頂くか 診断薬営業情報室 までお問い合わせ下さい。

参考文献