L-グルタミンアッセイキット

キットの特徴

本品は、L-グルタミン酸オキシダーゼ1)を用いたL-グルタミンの測定キットです。試料中にL-グルタミン酸とL-グルタミンが共存していても、L-グルタミンのみを特異的に定量することが可能です(測定原理 参照)。また、L-グルタミン酸脱水素酵素を用いる方法に比べ、簡単な操作でL-グルタミンを定量できます(測定方法 参照)。必要試薬はすべてセットされおり、R1酵素試薬およびR2酵素試薬はすぐに使える状態です(製品内容 参照)。
簡単にグルタミンを測定できる本製品は、培養細胞を用いた抗体や組換えタンパク質の生産工程における培地中のL-グルタミンの濃度管理、各種食品におけるL-グルタミンの定量分析などに有用です。また、生化学・医学分野の様々なアミノ酸代謝研究における各種試料中のL-グルタミン定量にも応用することができます。

測定原理

試料にR1酵素試薬を添加すると、L-グルタミン酸オキシダー ゼの作用により試料中のL-グルタミン酸は酸化され、過酸化水素を生成します。この過酸化水素はカタラーゼの作用により分解されるので、予め試料中に含ま れていたL-グルタミン酸が除去されます。続いてR2酵素試薬を添加すると、グルタミナーゼの作用により試料中のL-グルタミンはL-グルタミン酸に分解 されます。このL-グルタミン酸はL-グルタミン酸オキシダーゼの作用により酸化され、過酸化水素を生成します。生成された過酸化水素は、発色基質とペル オキシダーゼの反応により紫色色素が生成されます。この紫色の吸光度(555nm)から試料中のL-グルタミン濃度を定量します。なお、カタラーゼはR2 酵素試薬添加直後にアジ化ナトリウムによってただちに失活します。

製品内容

○製品コード 80116
○製品名 L-グルタミンアッセイキット
○構成品 R1酵素試薬 30mL 1本
R2酵素試薬 30mL 1本
グルタミン標準液(250mg/L) 凍結乾燥品 1本
*添付文書の操作法で、66試料が測定できます(同時に測定する標準液、ブランクおよびコントロールも含む)。
○貯蔵方法 2~8度、遮光
○使用期限 製造日から25ヶ月
○希望小売価格 160,000円

測定方法

グルタミン酸標準液(以下標準液)は精製水0.5mLで溶解します。試料の状態によっては測定への影響を確認するためのコントロールもご用意ください。

試料、標準液、精製水を各試験管に10μLずつ分注します。
R1酵素試薬を各試験管に450μLずつ分注して混和します。
20~30℃で20分間静置します。
R2試薬を各試験管に450μLずつ分注して混和します。
20~30℃で20分間静置後、精製水を対照にして555nmの吸光度を測定します。
試料の吸光度(A)、標準液の吸光度(S)、および精製水の吸光度(R)を用いて下記計算式より試料中のL-グルタミン量を算出します。
L-グルタミン(mg/L) = (A-R) ÷ (S-R) x 250 x 希釈率(試料を希釈した場合)

使用例

【試料に共存するL-グルタミン酸の影響】
L-グルタミン約250mg/Lを含む試料に、L-グルタミン酸3000mg/Lが含まれても測定には影響がありません。
L-グルタミンアッセイキット

【L-グルタミン検量線例】
L-グルタミンを10-1500mg/Lの範囲で測定できます。
L-グルタミンアッセイキット

L-アスコルビン酸(ビタミンC)の影響除去について

本品では、試料中に一定量以上のL-アスコルビン酸が含まれて いると発色反応が阻害されます。例えば、L-グルタミン250mg/Lの試料中にL-アスコルビン酸が25mg/L含まれるとき、L-アスコルビン酸が含 まれない場合に比べて吸光度が約10%低下します。したがって、そのような試料のL-グルタミン測定においては適当な前処理をする必要があります。L-ア スコルビン酸による発色阻害を除く方法として、アスコルビン酸オキシダーゼによる酵素処理の方法があります。下記にその処理方法例を示します。
なお、本品にはアスコルビン酸オキシダーゼは添付されておりません。また、弊社での販売は行っておりません。別途、市販品をご利用ください。

【アスコルビン酸オキシダーゼによる前処理例
250mg/LのL-グルタミン溶液を試料とした場合の処理例です。アスコルビン酸オキシダーゼはPBSにて5 U/mLに調整します。
① 試料10μLに アスコルビン酸オキシダーゼ溶液 10μLを加えます。
② 10分間室温で静置します。
③ 処理した液を試料として通常の測定を行います(最初の試料は2倍に希釈されています)。
本処理によりL-アスコルビン酸が1000mg/L含まれていてもL-グルタミン測定は影響を受けません。
ただし、試料の前処理の際には念のため、試料に適当量のL-グルタミンを添加したものを同時に測定し、その回収率に問題のないことを確認することをおすすめします。

参考文献

1) Arima J et al. (2003). J Biochem 134. 805-812.