バセドウ病とは

独立行政法人国立病院機構 京都医療センター
日本甲状腺学会 前理事長 
田上 哲也 先生監修

バセドウ病とは、自己免疫疾患のひとつで、甲状腺機能が亢進して甲状腺ホルモンを過剰に分泌してしまう代表的な病気のことです。
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると新陳代謝が活発になりすぎて、様々な症状を引き起こしてしまいます。
この病気は20~30代の若い女性に多い病気で、男性よりも女性のほうが3~5倍多いと言われています。

バセドウ病の症状

SYMPTOMS

バセドウ病の典型的な症状として、動悸がする、手が震える、疲れやすい、暑がりになる、汗っかきになる、また食事を摂っているのに瘦せてしまう、などの症状が現れます。人によっては眼球が突出する症状が現れることがあります。精神面では、落ち着きがない、イライラする、集中力の低下などの症状が現れます。
これらの症状は他の病気と間違われやすいため、適切な検査と治療が重要です。

症状の例

  • 動悸、頻脈
  • 発汗過多、暑がりになる
  • 手指のふるえ、振戦
  • 体重減少、食欲はむしろ亢進することもある
  • 易疲労感、全身のだるさ
  • イライラ感、精神不安定、不眠
  • 甲状腺腫大、首の前部の腫れ

バセドウ病の原因

CAUSES

甲状腺ホルモンは、脳下垂体から分泌されている甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節を受けています。
バセドウ病は、甲状腺を刺激する自己抗体(TSH受容体抗体)が体内で作られる病気です。
自己抗体が甲状腺刺激ホルモンに代わり甲状腺を刺激し続けることで、甲状腺ホルモンが過剰に作られ、様々な症状を引き起こします。
自己抗体が作られる理由は遺伝的な要因と環境的な要因(強いストレスや、過労、出産など)が関係していると言われていますが、明確な理由は特定されておりません。

正常な甲状腺とバセドウ病の違いを比較した図。左は正常で、TSHが受容体に作用し、甲状腺ホルモンを必要に応じて分泌。右はバセドウ病で、TSH受容体抗体が受容体を刺激し、甲状腺ホルモンを過剰に分泌している様子を示す。

TSH受容体抗体とは

WHAT IS TSH RECEPTOR ANTIBODY

自己抗体とは、本来は細菌やウイルスから自分の体を守るための抗体が、何らかの異常で自分の体を攻撃・破壊したり、刺激してしまうようになったものです。
TSH受容体抗体は、甲状腺の細胞表面にあるTSH受容体に結合する自己抗体です。主に 甲状腺を刺激する抗体(TSAb) ですが、甲状腺の働きを阻害する抗体(TBAb) や、刺激も阻害もしない抗体が存在します。
バセドウ病の原因になるTSH受容体抗体は、甲状腺を刺激する抗体(TSAb) と考えられています。
血液検査をすることで、TSH受容体抗体の量や、甲状腺を刺激する抗体の活性を調べることができます。

TSH受容体抗体にはTSAbとTBAbがあることを示す比較図。左は甲状腺を刺激する抗体TSAbが受容体に作用し、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される様子。右は甲状腺の働きを阻害する抗体TBAbが受容体に作用し、甲状腺ホルモン分泌が低下する様子を示す。

バセドウ病の検査方法

TESTING METHODS

バセドウ病の診断や症状の程度を調べるために、問診と甲状腺の触診、血液検査と甲状腺エコー検査を行います。
異常がある場合は、追加で検査をすることもあります。

血液検査

甲状腺機能検査
血液中の甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの量を調べる検査です。
ホルモン量から甲状腺の機能が正常かどうかがわかります。
甲状腺自己抗体検査
バセドウ病の原因であるTSH受容体抗体の量(TRAb検査)や、甲状腺を刺激する抗体の活性(TSAb検査)を調べます。
バセドウ病に罹患している場合、ほとんどの割合で陽性になるので、診断に重要な検査になります。

甲状腺エコー検査

甲状腺の形・大きさ、甲状腺内の血流、甲状腺全体の状態などを調べます。

その他の検査

甲状腺ヨウ素摂取率・シンチグラフィ検査や、心臓への影響をみる心電図や胸部X線検査、眼科検査などをする場合もあります。

バセドウ病の治療

TREATMENT

3つの治療法があります。
甲状腺ホルモンが過剰に作られないように、症状や体の状態、生活環境を考慮して、適した治療法を選択します。

薬物療法

甲状腺ホルモンを抑える薬(抗甲状腺薬)を定期的に服用する方法です。

アイソトープ療法

放射性ヨウ素を飲み、増えすぎた甲状腺の細胞を減らすことで、過剰なホルモン分泌を抑える方法です。

手術療法(甲状腺摘出)

ホルモンを分泌する甲状腺を手術で切除する方法です。

TSAb検査とは

WHAT IS THE TSAB TEST

TSAbは甲状腺を刺激する抗体の略称です。
体内に存在するTSAbが甲状腺を刺激し続けることで、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態になります。
TRAb 検査がTSH 受容体抗体の「量」を調べるのに対して、TSAb検査はTSH受容体抗体が甲状腺を刺激する「活性の強さ」を調べる検査です。
つまり、TSAbはバセドウ病の本質を反映していると言えます。
ヤマサは日本において唯一、この「活性の強さ」を調べる検査キットを製造販売しています。

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